
月村了衛著 「機龍警察 自爆条項〔完全版〕」上・下 (ハヤカワ文庫JA) を読んだ。
本作は、2012年に第33回日本SF大賞を受賞している。
うぅん、なぜこのシリーズに10年以上も気が付かなかったのか、悔やまれるなぁ 🙄
以前紹介した「機龍警察〔完全版〕」⬇️ に続く機龍警察シリーズ第2作である。
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ほんの少しだけ未来の日本。テロや凶悪犯罪に対処すべく、近接戦闘兵器として、人体を模して設計された全高3メートル強(機種によるが)の二足歩行型軍用有人兵器「機甲兵装」が開発されている。
そして、その「機甲兵装」の最新かつ大幅な改良版として警視庁が搭乗員の傭兵と共に導入したのが、「龍機兵」(ドラグーン)だ。
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まずは、二足歩行型軍用有人兵器「機甲兵装」に興味を引かれた、モビルスーツやパワードスーツ系のアニメなどが好きな人に向けて、本文の一部を引用しよう。
==========(以下本作上巻より引用)
ライザ・ラードナー警部専用機『バンシー』。全長約三メートル強。従来の機甲兵装より一回りは小さい龍機兵の中でも、最も繊細でスリムなフォルム。ゆるやかな曲線で構成された優美な機体は、天使の彫像のようでありながら魔女とも見える。純白の全身に漂う死の気配は、バンシーが本来有するものか、あるいは搭乗するライザ自身の印象ゆえか。
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頭部シェル閉鎖。内側のVSD(多目的ディスプレイ)に投影される外部映像。そして各種情報のオーバーレイ表示。BMI(ブレイン・マシン・インタフェイス)アジャスト完了。中枢ユニット『龍骨』の回路が開かれ、ライザの脊髄に埋め込まれたバンシーの『龍髭』と連動する。
月村 了衛. 機龍警察 自爆条項〔完全版〕 上 機龍警察〔文庫版〕 (ハヤカワ文庫JA) (p.295). 早川書房. Kindle 版.
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いかがだろうか?
純白の龍機兵『バンシー』と、そのコクピットに座る女性パイロットの様子が、私には映像としてありありと浮かんできた。
これを読んだだけで、本作を読んでみたくならないだろうか?
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以下内容に少しだけ触れるが、第1作で明かされていることや、本作でも最初の方から書かれていることなので、ネタバレにはなっていない。
第1作では、この「龍機兵」(ドラグーン)の搭乗要員の一人、姿俊之が主人公だったが、第2作の本作では、同じく「龍機兵」の女性搭乗要員のライザ・ラードナーが主人公となる。
ライザ・ラードナーは、IRF(アイリッシュ・リパブリカン・フォース)の元テロリストである。
IRFはその前身のIRAからの系譜を持つテロ組織である。(IRAは実在の組織だが、IRFは架空の組織)
なぜIRFの元テロリストであるライザ・ラードナーが、現在警視庁の警部として「龍機兵」の搭乗要員となっているか?
そもそも彼女はなぜテロリストになったのか?
本書の5章のうちの2章を使って、ライザの幼少期から、北アイルランドの闘争の歴史とからめながら、非常に読み応えのある物語が展開される。
この2章だけでも、一人の悲しみを抱えたテロリストの物語として成立してしまいそうだ。
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上下2巻で全体としても550ページほどはある長編だ。
冒頭に引用したような「龍機兵」が派手に登場する場面はそれほど頻繁にあるわけではなく、アニメのような戦闘シーンばかりを期待すると、上記のアイルランドに関する2章などは、ちょっと読みにくいと思う人もいるかもしれない。
逆に、ライザの悲しみやアイルランドの苦悩の歴史などに心を動かされれば、非常に興味深く読むことができるだろう。
(実際、私も背景をより知りたくて IRAや北アイルランドの歴史などについて調べながら読んだ)
とはいえ、非常によくできたエンターテインメントであり、警察小説であり、二足歩行型軍用有人兵器「機甲兵装」「龍機兵」の登場するSF・アクション小説でもある。
とっても強くお勧めしたい! 😀😀😀
(順番的には、最初の「機龍警察〔完全版〕」を必ず先に読んだ方が良い)
おまけ1:ライザの父親が飲んでいた、アイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ」が近場で手に入ったので飲んでみた。また別の記事にする予定。
おまけ2:実は、この続きの第3作「機龍警察 暗黒市場」上・下もさっき読み終わった。こちらもそのうち。