素数ゼミに思う 昆虫の「幼虫」は未完成なのか? 「成虫」がはたして完成形なのか?

セミの羽化


以前、素数ゼミについての記事を書きました。⬇️

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その後も、セミについて多少調べたりもしていたんですが、身近な昆虫のわりに飼育が難しくその生態はわかっていないことも多いようですね。

たとえば、日本にいるアブラゼミなど、幼虫で土の中に7年羽化してから7日と子供のころに聞いたという方も多いかもしれません。

八日目の蝉」という、角田光代氏の小説(ドラマ・映画)もありました。題名の解釈は諸説あるようですが、それだけ一般的にセミの成虫の寿命は7日間だと信じられていたので、それを過ぎた「八日目の蝉」という言葉に意味を持たせることができたのでしょう。

最近の情報としては、日本のセミはだいたい2~7年ほどで成虫になるそうで、ツクツクボウシで1〜2年、アブラゼミで3〜4年、クマゼミで4〜5年程度といわれているようです。(諸説あるようです)
逆に羽化した後、つまり成虫としての期間は、7日間よりは長く2~3週間程度は生きているそうです。


日本のセミに比べると、アメリカの13年ゼミ、17年ゼミの幼虫の期間は長いですね。(成虫は1カ月近く生きるようですが)
氷河期に栄養分が少なかったのでそうなったというのは、以前紹介した吉村仁氏の説です。⬇️

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それにしても、こういうセミなどの一生を考えるとき、以前からどうしても気になってしまう点があります。

例えばアブラゼミを例にして、一番短めに、幼虫として土の中に3年、羽化してから3週間だとすると、
3年:3週間 = 1095日:21日 ≒ 50:1 
つまり、幼虫の期間が "98%" であり、成虫の期間は約 "2%" (1/51)しかないことになります。

17年ゼミの場合だと、
17年:4週間 = 6205日:28日 ≒ 220:1
こちらは、幼虫の期間が "99.55%" で成虫の期間はわずか約 "0.45%" (1/221)しかありません。

生物の最終的な目的は子孫を残すことだと言えるでしょうから、幼虫は長い雌伏の期間を経て、最後に羽化し、パートナーを求めて文字通り羽ばたいていく。

と考えれば、なんら不思議なことはないのですが・・・


そうは言っても、幼虫の期間が長すぎる気がしませんか?
17年ゼミは極端な例だとしても、アブラゼミでも一生のうち "98%" は幼虫の期間です。😃

セミ以外の昆虫の例として、「カゲロウ目」カゲロウもく)の昆虫の成虫は、口や消化器官を持たず😮、成虫になってからは数時間から数日しか生きられません。それに比べて幼虫の期間は長い種では2年間ほどもあります(幼虫には口も消化器官もあります)。 

 ( "もく" は生物分類の階級のひとつ。 例:ヒトは霊長に属する)


こうしてみると、セミ」や「カゲロウ」の一匹の個体にとっては、いわゆる「幼虫」といわれている期間が、時間的には圧倒的にメインの生活であり、「成虫」といわれている期間は「生殖のための最後の一瞬の形態」にすぎないことがわかります。

一般的に言われているように「幼虫」として長い時間を過ごして、ようやく「成虫」として「完成形」となるわけではなく、

「その個体にとっては、"幼虫" としての形態と生活が主たるものであり、生涯の最後に一瞬だけ生殖が可能な形に変化した "異形の形態" を我々は "成虫" と呼んでいるのに過ぎないのではないか」

などと、ふと考えてしまいます。

 

まあ、あくまでも解釈の違いであったり、一般的なものとは異なる視点からの個人的な見解でしかありませんが・・・。
ずいぶん前からそんな考え方が頭のスミに巣くっています。🙄